「私はアンタに散々振り回されたよ! 最初は大っ嫌いだった。振り回されて振り回されて、私の日常ぶっ壊されて。だけど、いつの間にか気になってた」

私は彼の肩を掴み、親指を食いこませるくらい力を入れる。

彼は私の勢いに弾かれたようになにも言えずにいて、戸惑ったような瞳をしていた。

「嫌いになれなかったんだよ、アンタのこと。好きになってたんだよ、アンタのこと! だから、アンタらしくないこと言わないで」

思いきり彼の肩をゆすった。

抵抗もなく軽々しく揺れる彼の体になんだかイラつく。

私はなんでこんなヤツを好きになったんだろうってね……。

妹だとは知らなかったとき他の女の名前を呼んだって、今日みたいにこんなにボロボロで弱々しくなっていたって、愛おしくなってしまう。

そんなコイツに触れたくなってしまう……。

そんな過去があったなら尚更、コイツを抱きしめたくなるのはどうしようもないことなんだ。

辛くても、苦しくても、私はコイツを嫌いになれないんだから……。