Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

「ロイさんですよね?
こんな時間に、しかも強引だったことは謝ります。
だけど、あなたのそのチョーカー、ブラッド・スネークと関係があるんでしょう?」

そう問われ、彼は慌ててチョーカーを掴んで隠した。

だがそれももう遅いと気づいたのか、手を離して答えた。

「あんたらには関係ない」

鋭い眼でジルを睨みつける。

よほど聞かれたくない事なのだろうか。

しかし、こちらも引き下がる訳にはいかない。

「ミシェルをどこに…」

「だいたい、あんたたち何者なんだ。
なぜブラッド・スネークについて知りたがる」

ジルが言い終わる前に、彼は強い口調で訊いた。

鋭い眼光が尚も二人に向けて浴びせられている。


ジルはゆっくりと自分の持ち物を取り出した。

例の湾曲刀の柄をロイに向かって差し出す。

ロイは怪訝な表情を浮かべたが、ジルからその品を受け取った。

包まれた布を剥がし中身を取り出すと、彼は目を瞠って息を呑んだ。

「友人が盗賊に攫われた。
それはその時に奴らが落としていった物よ」

ロイは手に取った柄をテーブルの上に置き、席を立った。

「だからなんだ。俺には関係ねぇ」

二人に背を向けてそこにあったマグカップを一気に呷った。

しかしその言動は落ち着きのないものに見える。

苛立ちと不安、そして焦りのような感情が滲み出ているのが分かる。