問答する二人に向かって男が言った。

「いったい何なんだいきなり。
もう帰ってくれないか」

さも迷惑そうに放つと、ジルたちを玄関の外へと追い立てた。

「そういう訳にはいかない」

外へと追いやられる前に、今度はローグが男の前に出た。

強い視線の前に男の行動が止まる。

しかし返事はない。

強引な来客に舌を打って、大きく呆れるように息を吐いた。


「ブラッド・スネークについて聞きたい」

ローグは静かにそう告げた。


ブラッド・スネーク。
その言葉を耳にした瞬間、男の眉がピクリと反応した。

そして二人を交互に見遣る。

なぜそのことを?
驚いたような男の表情がそう物語っていた。


しばらく沈黙が続いた。

外では風が強くなってきたのか、開いたままの玄関扉がガタガタと揺れ、心地の悪い軋んだ音を発する。

ジルがその玄関扉を閉めると、男は二人に背を向けて暖炉の前に備えられた丸いテーブルの前に腰を下ろした。

少しは話をしてくれる気になったのだろうか。

ジルとローグも後を追ってテーブルに近づいた。