Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~


街灯の灯りと月明かりに照らされ、人影が映し出される。

一人の女性が酔っ払いに絡まれているようだ。

通行人が何事かと足を止めだしている。

ジルはもう少し近くに寄ってみようとした。

酔っ払いは二人。
見覚えがあった。

今朝、ジルに絡んできた男二人に違いなかった。


男たちは嫌がる女性を無理に誘っている。
また、嫌がる姿を見て楽しんでいるようだ。

朝、ジルに痛い目に遭わされたというのに、まったく懲りていない。

ジルは今朝と同じように怒りが込み上げてくるのを感じた。


ジルが酔っ払いを止めようとしたそのとき、

「おいおい、おっさん。
いい加減にしろよ。嫌がってるだろ」

ジルより先にスラリとした長身の男が躍り出た。

「あ? 何だお前?」

因縁をつけようとする酔っ払いの腕を、男は素早く締めつけた。

辺りに酔っ払いの情けない悲鳴が響く。

もう一人の酔っ払いが男の胸倉を掴みかかったが、呆気なく返されてしまい、酔っ払いはフラフラとその場に転がった。

一瞬何が起こったのか分からないように目を瞬かせている。