二人はその状況を楽しんでいるようだ。
嫌がる女性を無理に誘う。
何度もそんな事をしてきているのだろう。
ジルは怒りが込み上げてくるのを感じた。
揉め事はなるべく避けたかったが、おとなしく断っていては埒があかない。
この男たちの楽しみを増やすだけだろう。
また、こんなところで時間を無駄にしている気もなかった。
ジルは短く息を吸い込むと、素早く反撃に出た。
掴まれた腕の手首を返し、反対に男の腕を取ると、相手の背中に回して関節を極める。
背後から膝の裏側を蹴って、男を跪かせると、男が悲鳴を発した。
「イテテテテ……」
もう一方の男は、一瞬のことで何が起こったのか分からないようだったが、ジルの反撃で仲間の形勢が逆転したことに気づくと、
「この、アマ!」と喰らいついてきた。
男の関節を極めたまま、体勢を低くし、大振りのパンチを避ける。
そのまま足を引っ掛けて転ばすと、男が体勢を整える前に喉元にダガーを突きつけた。
「ひっ…!」
短い悲鳴を発し、男はその場にへたり込んだ。

