少し言葉足らずだったか。
「そうだよね」などと作り笑いしながらぽりぽりと頭を掻く。
なんて言えばいいのだろう。
この際、ストレートに盗賊のことを訊いてみてもいいのだろうか。
「だって、街の外には恐ろしいモンスターがいるんでしょ?
この街だっていつ襲われるか分からないですし」
かのじょはそう言いながら離れた隣の男性客に同意を求めるように視線を向けた。
男性客の方はチラッとジルを見遣ったが、興味なさそうに目線を自分のグラスへと戻す。
その態度に彼女は苦笑して、ジルの方を向いて肩を竦めた。
ごめんなさい。彼はいつもあんな感じなの。
と言っているよう。
「モンスター以外にも…」
と、彼女はジルの気持ちを害さないようにか、話を続けようと口を開いた。
「モンスター以外にも、最近じゃ、人を襲う人が出るって言うじゃないですか」

