Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~


最初に、ジルが動いたんだ。


外の状況を確認しようと扉を開けたら、何人かの覆面をした男が馬車を囲んでいた。

ジルはすぐに飛び出して行ったし、俺も外に出た。

今から思えば、この時ミシェルを馬車に一人にしたのがいけなかったんだろうな。

だけど、襲ってきたのは数人…。

ジル一人では、多勢に無勢だと思ったんだ。


ヤツらの目的が何なのか、よく分からないままだったが、ヤツらは相当戦い慣れていた。

情けないが、一人を相手にしてこの様だ。


俺とジルが足止めを喰らっている最中(さなか)で、ミシェルの悲鳴が聞こえた…。

その時、俺は何かに頭を殴られてよく覚えていない…。

咄嗟のことで、悲鳴に気を取られたんだと思う。


朦朧とした意識の中で、ジルが追いかけて行ったのが分かって、それから俺は気を失った…。