「とにかく、状況を整理しておきたい。
今までのことから詳しく聞かせてくれ」
しんとしたぽんぽん亭の店内。
その一画のテーブルで、ローグは椅子を引くと、座り直して、ダレンに向かって言った。
ミシェルが攫われて、その場にジルとダレンがいたらしい。
ダレンはその後、リィズ村に帰ってきた。
事態を知らせる為だろう。
実際、今のところローグにはこれだけの事しか分かっていなかったからだ。
いったいどこで、どんな状況で、相手は何人くらいで、どんな容姿だったのか。
それを知っているのは、その場にいたダレンしかいない。
「昨日の朝早くに、俺とミシェルとジルは馬車便に乗って出発した。
途中までは順調だったと思う…。
あまりに順調すぎて、俺はウトウトしていた。
朝も早かったからな。ミシェルとジルも同じだったんじゃないかな?
だが、昼も少し過ぎた頃だったか、突然、馬車が大きな音を立てて止まったんだ」
ダレンは静かに頷くと、その時の状況を想起しながら話し始めた。

