「で、どうするんだ?」

「あぁ、昨日ニックと久しぶりに腹を割って話をしたよ。
俺はまた盗賊団に戻る。
あいつも辛かったんだ。まだ、わだかまりが残るが、それはこれから何とかしていくよ」

その言葉を聞いてジルは心底ホッとした。

「それで、あの子供たちはどうするんだ?」

「そうだな。本人たちがどう言うか分からないが、一応グランドヒールにある孤児院にも相談してみるつもりだ。
施設に入りきれないなら、俺のあの小屋を提供したっていい」

ロイはそう言ってフッと笑った。

何だか今までの緊張感が解け、清々しい表情をしている。

今回のことはロイにとっても大きな出来事だったと言えるだろう。


そこへ簡単に身支度を整えだジャンがやってきた。

彼の後ろには、同じく身支度を終えた三人の女性の姿もある。

「ジャンが街まで送ることになった」

首を傾げていたジルに向かってロイが言った。

「彼女たちも一緒にな」と付け足す。

尋ねなくてもすぐに分かった。
彼女たちが連れ去られてここで子供たちの面倒をみていたのだろう。

するとこの中にザックの妹がいるのだろうか。

彼女たちはジルに会釈をすると足早に洞窟の出口に向かって歩いていった。

ここから解放されてホッとしているのか、それとも残していく子供たちが気掛かりなのか、一様に複雑な表情を浮かべていた。