翌日の朝、ジルは出発の準備を整えていた。

左足はまだ痛む。

早く治療したほうがいい、周りからそう提案され、心残りではあるがジルとローグはグランドヒールへ一度帰ることにしたのだ。


昨日の晩、ロイはあの後、ニックとジャンと遅くまで話していたようだ。

身内の内部の話にまで首を突っ込むことは控えようと、自分たちはその場を離れた。

盗賊団として、これからのこと、よう話し合っていい方向に向かってくれればと思う。


支度を終え、ローグと家屋の外へ出ると、ロイを見つけ、ジルはロイに近寄った。

「ロイ…」

「あぁ、あんたか。もう行くんだってな」

「えぇ。でも、また様子を見に来てもいいでしょ?」

「あぁ、もちろんだ。今回は世話になったな。ありがとう」

そう言ってロイは右手を差し出してきた。

ジルもそれをしっかりと握り握手した。

すぐ側まで寄ってきたローグともガッチリと手を握り合う。