だがジルは、そんな開き直り同様の言い分に腹が立った。

「ただ怯えて、何も言い返せなかっただけじゃないのか?」

ローグが問うた。
ジルも同じことを思っていた。

その質問にニックは頭を伏せた。

「そうかもしれないな…」と呟いて。


いかに辛い状況だったのかは理解できる。

子供たちを救いたいという気持ちも。

だが、それで彼らを正当化することは出来ない。

彼らはやり方を間違ってしまったのだ。

ジルはそれが悲しかった。


再び部屋に沈黙が訪れた。

ニックとジャンは頭を垂れている。

一応反省はしているようだが。

いくらニックたちを責めたとしても、今の状況が変わるわけではない。

大切なのはこれからどうするかだろう。

全てを暴露した彼らに、自分たちは何が協力できるのだろうか。


前へ踏み出すには、彼ら自身の努力が必要だろう。

妹カレンの死についても、ロイとの歩み寄りも、そして侵した罪の償いも。

これから気持ちを入れ替えて、盗賊団を立て直してほしい。
ジルは切にそう願った。