出された食事をとった後、ジルたちは盗賊の案内により移動した。

どうやらニックの状態が安定したようで、ニックとジャンが呼んでいるとのことだった。

ジルは歩くのに多少苦労したが、鎮痛剤がよく効いたのと、ローグが手を貸してくれたので、なんとか移動するかとができた。


案内されたのは、建物の一番奥の石畳部屋の手前、あの会議室のような部屋だった。

部屋に入ると、既にニックとジャンは椅子に腰掛けていた。

真ん中のテーブル上で手を組み合わせている。

その状態でジルたちを見据えた。


ジルにはとても意外に感じられた。

あんなに苦しそうに悶えていたのに、すぐに医者に診せなければならない状態かと思ったのに。

今は平常顔でそこに佇んでいる。

いや、苦しい状態は変わらないのかもしれないが、ベットに横になった姿を晒したくなかった。

そんな彼のプライドなのかもしれない。


ジルたちが向かい側に腰掛けると、案内役の盗賊は部屋を出ていき、室内にはニックとジャン、そしてロイとジルとローグの五人だけになった。

沈黙が続き、重苦しい空気が部屋の中に漂う。

誰も何も話さないまま時間だけが過ぎていく。


「それで、何から聞けばいいんだ?」

そんな中、ロイが口火を切った。

ニックとジャンはあらかじめ話していたのだろうか、お互い顔を見合わせて頷くと、ニックが口を開き始めた。

「兄さん…」