「あの、あなた…盗賊じゃないわよね？
どうしてこんな場所にいるの？」

恐る恐る訊いてみると、彼女の顔が強張った。

何か事情があるのか、あまり訊かれたくない質問のようだ。

問いただすのが少し躊躇われたが、それでもジルは訊いておきたい。

そんな思いから、「あの人たちとどんな関係があるの？」そう発しようとした。

その時、

「おい。具合はどうだ？」

声と同時に扉が開き、ロイがひょっこりと顔を覗かせた。

ロイはその状況を捉え、少し気まずさを覚えたようで、

「あ…、なんか話し声が聞こえたから、目ぇ覚ましたのかと思って…」

などと頭を掻きながら言っている。


彼女はその隙に、もう一度深々と頭を下げると、ロイの脇を擦り抜けて、慌てて部屋を出て行ってしまった。


彼女の様子がただなんとなく気になった。

ただの人見知りだろうか、それとも言えない何かがあるのか。


気になりだしたら首を突っ込んでしまう性格が板についてきたようだ。

単なるおせっかいになりかねない、そうロイからも注意されたのに…。

ジルは自分の膝下を見つめ、深く溜め息をついた。