しかし、どうして私はこんな場所で休んでいられるのだろうか。

それが気になりローグに尋ねると、あのジャンとか言う盗賊の指示とのことだった。

しばらく休ませ、落ち着いたら話をする。
そう言っていたと。


ロイはしばらく一人でいたいらしく、どこかに行ってしまったそうだ。

きっと自分たちより気持ちは複雑なのだろうと、ローグは何も聞かなかった。そう言った。

そうしてローグはジルが目を覚ますまで、ずっと傍についていてくれたらしい。

「ありがと、ローグ…」

面と向かって言うのが何だか気恥ずかしく、ジルは俯いて小さな声でお礼の言葉を漏らした。

どうやらその言葉はローグの耳に届いていたらしい。

ローグは照れ臭そうにぽりぽりと鼻を掻くと、視線を外してジルの頭をクシャっと撫でた。


思わずドキッとする。
またあの変な胸の高鳴りが響いてきそうだ。

ジルは慌てて目線を下に向けた。

幸いローグはこちらを見ていなかったから、変に動揺したことなど気づかれていないだろう。

いや、気づいていないで。

そう切に願いながら。