次にジルの視界に映ったのは見覚えのない天井だった。

まだ意識がはっきりとしていない。

ここはどこだろう…。
私は…。


「目ぇ、覚めたか」

頭上から声が聞こえ、ゆっくりの目線を向けると、ローグが目を細めてこちらを覗き込んでいた。

朧げだった記憶が次第に想起され、ジルは勢いよく上半身を起こした。

途端に左足を鋭い痛みが貫く。

「つっ…」

思わず痛みに耐えかねて蹲る。

「おい、まだ無理するな」

ローグが慌ててジルの背中に手を回した。


ジルはベッドに寝かされていた。

三台ほどのベッドが並ぶその質素な部屋にはジルとローグしかいない。

部屋の外に人の気配は感じられたが、静かだった。

ここはどこだろう?
まだ盗賊のアジトなのだろうか…。