ローグは前方を阻むジャンと競り合っていた。
ロングソードを翳し、攻撃を繰り出す。
ナイフに比べてリーチが長い分、こちらが有利なはずなのに、ジャンはすばしっこくなかなか攻撃が当たらない。
それどころか、攻撃をすり躱しながら拳や蹴りなども交えて体全体で反撃をしてくる。
面倒くさい野郎だぜ。
心の中で舌打ちをしたとき、ニックの叫び声が響き渡った。
そちらに気を取られるジャン。
見るとニックが湾曲刀を手に、ロイとジルに向かっている。
ジャンに隙ができた。
ローグは歯を食いしばると、振り上げていたロングソードを一気に振り下ろした。
確実に捉えたと確信したはずなのに、手応えを感じなかった。
またしても俊敏な動きで躱される。
なんて野郎だ。
本当に人間かよ。
カウンター攻撃を予想し、それに備えたローグだったが、予想に反してジャンはローグの前から消えた。
いや、消えたと錯覚しただけで、奴はローグと競り合うのをやめ、ニックの元へ向かおうとしている。

