ジルは脚を襲う痺れるような痛みに耐えながら、その瞬間を目撃した。
ニックが湾曲刀を振り翳してこちらへ迫ってくる。
狙いはロイだとすぐに分かった。
自分の上に被さったままのロイを遠ざけようと手を伸ばす。
身体が思うように動かない。
ロイが頭上で何かを叫ぼうとしていたが、ニックはもう目の前まで迫ってきている。
もうダメかと思った瞬間、ジルは見た。
ニックが何か信じられないものでも見たかのように表情を硬直させ、動きが一瞬止まったことを。
妙な感じを覚えた瞬間、ニックがロイに衝突して石畳上に倒れた。
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