Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

「おい、大丈夫か。
しっかりしろ」

少々手荒な方法だったとは思うが、この女なら耐えられる。

気絶させないようにジルの身体を揺さぶった。

ジルは痛みに顔をしかめながらも、薄目を開けてロイを見た。

「…い、痛いじゃないの…。
も、もう少し、優しくできない、わけ…?」

必死に痛みに耐えながらも、憎まれ口を叩く彼女を見て、ロイはホッとした。

この状況で文句を言えるくらい頭が働いているなら大丈夫だ。

「しっかり押さえてろよ」

ジルの手を取ってバンダナの上から押さえさせてやる。


その時、部屋の中に爆音が響き、ロイはジルを庇うようにして覆いかぶさった。

軽い地震が起きたような振動が部屋を揺るがす。

どうやらローグの放った魔法らしい。

彼は引き続き攻撃を仕掛けようと、ジャンと対峙していた。


周りの状況を確認しようとロイは辺りを見回していた。

無意識にニックに意識がいってしまう。

あいつはどこにいる…。

その姿を見てロイはハッとした。