Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

玉は敵に向かって一直線に伸び、触れるか否のところで閃光を発し、爆音を轟かせて爆発した。

閃光は視覚を、爆音は聴覚を奪い、生じた爆風で敵を吹っ飛ばせる。

盗賊二人は避ける間もなく爆風に煽られ、部屋の壁に叩きつけられた。


二人の敵が倒れ、反撃してこないのを確認したローグは、ジルに駆け寄ろうと動いた。

そこへ一人の影が喰らいつく。

またしてもジャンだ。

ジャンはローグの死角から間合いを詰め、軽い腕裁きでナイフを操り急所を狙い突いてくる。

ピュッピュッと空気を切り裂きながら繰り出される連続攻撃を躱す。
躱す。
速い。

先ほどの二人とは比較にならないスピードだ。

くっ…。

ローグはなんとかそのスピードについて、ロングソードの鞘の部分で受け止めた。

スピードも速いが、力も相当なものである。

ローグはそれを薙ぎ払うと、バックステップで相手との距離を保った。

そこからすかさず爆発する光の玉を放つ。

放たれた二発の玉は異なった弧を描き、ジャン目掛けて飛んでいく。