そこから数メートル離れた場所で、二人の盗賊を相手にしていたローグは、ジルの悲鳴を耳にしてすぐに反応した。
「ジルっ!」
二人の湾曲刀の払いを躱しながら横目で確認する。
ジルが脚を押さえながら倒れ、そこへロイが駆け寄っていくのが見える。
ジルの脚から滴り落ちた鮮血が石畳を染めていく。
くそっ。
二人から繰り出される連続攻撃を巧みに避けながらローグは舌打ちした。
こちらとしては、相手に致命傷を与えることは避けたい。
だが、相手の方は何の躊躇いもなく、こちらの命を奪おうとしてくるのだ。
状況としてはかなり不利だった。
とめどなく急所を狙ってくる湾曲刀を紙一重で躱し、敵を蹴って一旦距離をとると、ローグは左手に気を込めた。
魔法力を集中させたローグの左拳がぼんやりと光を帯びる。
「おめぇらと、遊んでる暇はねぇんだ」
ローグの動きに反応し、間合いを詰めてきた盗賊に対して、ローグはその光の玉を二発放った。

