Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

ただ、優しく話す口調とは裏腹に、切れ長の瞳に愛想はなく、鋭い眼光でこちらを見据えている。

「ニック。ずいぶんと痩せたんじゃないか？」

「さぁ、あれから月日もだいぶ流れたからね。
それで、何か用があるんだろ？
まさか世間話をしに来た訳じゃないだろ」

「そうだな。なら、単刀直入に言うが、お前のやっている事をやめさせる為に来た」

「やめさせる？」

ニックはロイの言葉を繰り返すと、不敵に笑みを浮かべた。

「はは。なんの冗談かと思えば。
察するに、そのお客さんは被害者かな。
どうやって調べたかは知らないけど、ロイを見つけて、ここへ奪われたものを取り返しに来たってわけだ」

そうしてジルとローグに目を向ける。

どこか嘲笑したような態度にジルは腹立ち、ニックを睨みつけた。

「冗談なんかじゃねぇ。
被害者は彼女たちだけじゃない。
ニック、攫った人たちをどうしたんだ？
なぜこんなことをしている？」

ロイは口調を荒げて詰め寄った。

しかし、そんなロイにニックは動じることもなく、

「なぜって、生きるためだよ」

「生きるため？」

「生きていくには、金だって食べ物だっている。それどけだよ」

サラリと言ってのけた。