Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

「やあ、兄さん」

ロイを先頭に彼に近づいていくと、彼は表情のかけらもない声でそう発した。

「ニック…」

一定の距離をおいて立ち止まるロイの表情は少し強張っていた。

「まさか、また兄さんに会えるなんて思ってもみなかったよ。
それに、お客さんを連れてくるなんてね」

彼はそう言って一同を見渡した。


先ほどより天窓より降る太陽の光に近づいたせいでニックの姿がよく見える。

ジルは目を凝らして彼を観察した。

ジャンやロイのような色黒で健康的な印象は薄く、どちらかと言うと色白で体型もやや細い。

ツンツンと尖った短髪に、動きやすい服装はしているものの、ジルが締め上げれば途端に降参してしまいそうな細腕だ。

こいつが本当に盗賊団の親玉なのだろうか。