「スコットおじさん…」
「やっぱり、行っちまうのか?」
その声はいつも豪快なスコットからは程遠く、何だか別人のようだ。
今までも何度かこの村から旅立ち、その度に戻ってきたのだが、旅たちの時にスコットがこんな表情を浮かべるのを見たことがない。
「やだ、おじさん。
そんな顔、しないでよ」
ジルは努めて明るく笑った。
予想以上に心配されている気がするのは、今回ローグが一緒にいないせいだろうか。
そんなことがぼんやりと頭の片隅に浮かぶ。
「もう会えない訳じゃないんだし、また帰ってくるから」
荷物を背負い、微笑みながら見上げると、スコットは「そうだな」と呟いてニッと笑った。
そして気持ちを入れ替えるように、
「よし。それじゃ、気をつけて行ってこいよ。
ローグが帰ってきたら、おめぇはジルに捨てられたって言っといてやるよ」
ジルの肩を何度も叩き、ガハハと笑う。
いつものスコットだ。
「おじさん…。ちょっとそれ、言い過ぎ」
スコットのキツイ冗談に、ジルは目を細めた。

