単なるお節介…か。

自分はいつから他人のことを思うようになったのか。

ローグと出会うまではそんな事を考えたこともなかった。

悪魔のような里親にもらわれ、兄弟たちからも酷い仕打ちを受けた。
とんでもない幼児虐待。

あの家を出てから、自分は一人で生きていくと決心した。

他人など信頼できないし、また信頼する気も毛頭ない。
他人がどうなろうと、自分には関係ない。

そう思っていた。

だからロイの言うような“昔からこんな性格”ではない。


人との関わりを遮断したジルを変えたのはローグだと言える。

ローグと出会って彼女は変わった。

彼は本来の人の気持ちや温もりを感じさせてくれた。

徐々にだが、確実に変わっていった。

こうまでも変われたことに自分自身でも驚く。

そのことにはローグに感謝している。
ただ、口に出してお礼など言ったことはないのだが。


それからジルは昔の自分の負を埋めるかのように人を思いやるようになった。

誰もが笑顔でいてほしい。

困っている人にはなるべく手を差し伸べるようにしたい。

自分の力でそれが少しでも敵うなら…。

昔の自分と同じような人間には心を開いてほしいと思う。

そう思って起こす行動は、ただの自己満足にしか過ぎないのだろうか。