マルメロは、そんなストケシアを見て何故か悲しみが増してくるのです。

「大丈夫よ。少し気分が悪いだけだから」

マルメロは小さな声で答えました。
ストケシアは心配そうに言います。

「本当ですか?大丈夫には見えません。何かあったのですか?」

「本当に大丈夫よ」

「いや、絶対に大丈夫じゃない。俺には分かります!どうしたのですか?」

「何でもないってば」

「ちゃんと言って下さい。一人で悩むよりも、ずっと良いですよ」

「うるさいわね!何でもないって言ってるでしょ!それに、絶交したのに軽々しく話しかけてないで!」

マルメロは思わず怒鳴ってしまいました。
怒鳴った後、マルメロは感情的になった事を恥ずかしく思います。
少し冷静に言いました。

「ストケシア、ごめんなさい。少し、疲れているのよ。一人にしてもらえるかしら?」

マルメロは優しい表情を作ります。
しかし、ストケシアは真剣な表情で言いました。

「駄目です。マルメロ様の顔は悲壮感に満ちています。一人になんかさせられません。俺が力になります」

ストケシアのしつこさに、マルメロは力が抜けてしまいます。
マルメロは言いました。

「わかったわ。いつものテラスに行きましょう」

ストケシアは笑顔で頷きます。
マルメロは、静かに歩き出しました。