知らせは突然やってきます。

『愛おしいマルメロへ

マルメロ、すぐに戻れ。

母上が倒れた。

意識が途切れかけている。

ハンノキ』


急いで書いたのか、汚い字です。
その字が更に不吉な予感をさせます。

マルメロは手紙を読んだ瞬間、全身に鳥肌が立ちました。
何度も何度も、この短い手紙を読み直します。

「嘘でしょ。だって、先日まで手紙のやり取りをしていたのよ」

マルメロには信じられません。
手紙では元気な母親を感じていたので、体調が急変したなんて信じられないのです。

「何かの間違いよ。それか、ハンノキの罠」

自分以外を疑うマルメロは、母親の危篤を怪しみます。

マルメロは、ハンノキからの手紙を捨てました。

「危ない。騙される所だったわ」

そんな風に思いながらも、心の何処かで焦りを感じています。

「お母様に手紙を書きましょう」

マルメロは、確かめる気持ちで母親に手紙を書きます。

『お母様へ

ご機嫌はよろしいですか?

ハンノキ様から、恐ろしい手紙がきました。

お母様が倒れた、と。

私には信じられません。

どうか、返事をください。

マルメロ』


短い手紙を書き上げ、すぐに送りました。

手紙を送っても、マルメロの不安感は消えずジッとしていられません。

「一人でいるよりはマシ」という理由でサイネリアに会いに行く事にします。

しかし、サイネリアとの会話はマルメロを更に不安にさせるものでした。

サイネリアの部屋にマルメロが訪れます。
サイネリアはマルメロの訪問に喜び嬉しそうに話し出しました。

「マルメロ、良いタイミングよ!まさに、私もマルメロに会いに行く所だったのよ」

「あら、そう。なら良かったわ。少し暇なのよ。お話しでもしましょう」

サイネリアは嬉しそうに頷きました。
そんなサイネリアを見て、マルメロは何故か苛立つのです。