マルメロの元に珍客が現れます。


「マルメロよ、何でこんな事に…」


「ハンノキ様…、それにストケシア」


マルメロの部屋に現れたのは、ハンノキとストケシアです。

ハンノキは涙を流しています。

マルメロは心が痛みました。

ハンノキは、マルメロが何をしても笑って許してくれていたからです。

そんなハンノキを泣かせてしまった事に強い罪悪感を感じたのです。

「ハンノキ様、泣かないで下さい」

マルメロはハンノキを宥めます。

「ストケシアが、ハンノキ様に伝えてくれたの?」

マルメロはストケシアに聞きます。

ストケシアは申し訳なさそうに頷きます。

ハンノキが涙を堪えて言います。

「マルメロよ、もう少しの辛抱だ」

マルメロには意味が分かりません。

「もう少しの辛抱とは?」

ハンノキは小声で囁きます。

「マルメロを連れ出す準備を進めている」

マルメロは驚きます。
ストケシアを見ると、微笑んで頷きました。

ハンノキが続けます。

「今、買収をすすめている所だ。全財産使い切ろうがマルメロを救い出してやるからな」

マルメロは、更に驚きました。

また、金で解決しようとしているからです。

頭に血がのぼったマルメロは言います。


「ハンノキ様、結構です」


マルメロは、ハッキリ言いました。
その言葉に、ハンノキとストケシアは驚きます。

マルメロは凛々しい表情で言います。

「金で買収だなんて。私は犯罪者ではございません。潔白なのです。まさか、ハンノキ様は疑っておいで?」

「馬鹿者。疑う訳がないだろう。ストケシアから話しは聞いた。それにだ、金で買収して上手くいけばそれで良いじゃないか」

「その考え方が嫌なのです。潔白の私が何を恐れる理由があるのでしょう?」

「これは、遊びでは済まんぞ。大人になれ、マルメロよ」

「もう、立派な大人ですわ」

「駄目だ。マルメロが断っても話しは進める。良いな?」