「マルメロ様、無理しちゃ駄目ですよ?」

「平気よ。ちゃんとお母様ともお別れができたんだから」

「そうですか。なら、いいのですが…。もし、何かあれば俺に言って下さいよ」

「ええ。分かったわ。ストケシア、ありがとう」


マルメロはストケシアを信用しています。
この城では、ストケシア以外は信用してはいけない事も理解しています。

マルメロにとって、産まれて初めて出来た本当の友人です。

マルメロは言いました。

「ストケシア、もし私が居なくなったらどう思う?」

「そんな悲しい事を考えたくないです。マルメロ様には、ずっと居てほしいですから」


ストケシアの言葉を聞いたマルメロは思いました。

「お母さんも、こんな気分だったのかな?」


言葉のないマルメロをストケシアが心配します。

「マルメロ様、本当に大丈夫ですか?」

マルメロはハッとして答えます。

「あ、ごめんなさい。大丈夫よ」

ストケシアは怪しんだ顔。

「本当の本当に大丈夫ですか?」

「本当よ。私は大丈夫。」

「嘘っぽいです。俺に言って下さい」

「本当に平気だってば」

「マルメロ様、俺じゃ力不足ですか?」

「そんな事ないわよ。ストケシアが居てくれて助かってるわ」

「本当ですか?」

「本当よ」

「本当の本当ですか?」

「ストケシア、しつこいわよ」


マルメロとストケシアは、いつものように会話を楽しみます。

一時の安らぎ。

テラスから出たら、戦場なのです。

マルメロは、城を見上げ思います。

「この城は、憎悪と嫉妬で出来ているわ」

立派な城を見て、マルメロは思いました。