しかし、この作戦は大失敗に終わりました。

「私の14才の誕生日」

マルメロが口にした言葉。

この言葉を聞いた瞬間、マートルの敗北が決まったのです。
男を連れ込み、マルメロを罵った今日はマルメロの誕生日だったのです。

マートルは何も言えません。
マルメロも、それ以上は何も言わず家から出ていってしまいました。

マートルは、この事件を機に自分の歪んだ愛情に気づきます。

「私は何て愚かな事を…」

涙が出て止まりません。

愛しているからこそ、マルメロにちょっかいを出していただけ。

しかし、それは酷く愚かな行為だと気づいたのです。

「どうしたら良いの?こんなにも嫌われてしまって、今更、修復なんて出来ない」

マートルは落ち込みます。

「マルメロと幸せになりたいだけなのに!」

マートルは自分の幼い考えに恥ずかしくなりました。

泣くだけ泣き、マートルは立ち上がります。

「お祝いしてあげないと…」

しかし、何かを買ってやるお金がないのです。
自分の力の無さに、更に落ち込みました。

「泣いてちゃ駄目よ。明るく振る舞いましょう!」

マートルは、明るく振る舞う事でマルメロの気持ちを取り戻そうと考えます。

「確か…、父親の事を知りたがってたわね…」

マートルにとって、父親ジキタリスの話題はタブーです。

しかし、マルメロの気持ちを取り戻すためなら我慢ができます。

自分に気合いをいれ、マルメロの帰りを待ちました。

しかし、この作戦も上手くいかないのです。

無理に明るく振る舞ったため、おかしな空気になってしまいマルメロを苛立たせてしまったのです。

焦ったマートルは、更に混乱して皮肉っぽくなります。
そして、父親の事も悪口のように言ってしまいました。