そんな日記帳を胸に抱きしめ、母親の葬儀に出席していたのです。

ぽつ、ぽつ、と雨が降りだしました。

ドンドンと雨は強くなります。
マルメロは日記帳が濡れないように、服で包みました。

「母上の死に、空まで泣いているのか」

ハンノキは、空を眺め言います。
使用人は言いました。

「マートル様は、お優しい人でしたもの」

ハンノキは頷きます。

「あぁ、母上は優しい人だった」

マルメロは、何も言わず母親マートルを見つめていました。