そんな母親が『愛する人』と、見だしに書くとは思えません。

しかし、父親以外考えられないのです。

マルメロは日記帳に手を伸ばしました。
最初のページを開き、日付を確認します。

「25年前…。私の年齢と同じ」

マルメロは最後のページを見ます。

「空白だわ…。途中で日記を止めたのね」

マルメロは少し悩みましたが、日記帳と写真を机に置きました。

「読んでも、怒られないわよね…」

マルメロは片付けをしながら、日記帳を読む事を自分に許します。

「気になるわ。お父様の事がわかるもの」

日記帳を読むと決めると片付けも早くなります。
さっさと終わらし、葬儀の準備に取り掛かります。

日記帳と写真は、マルメロの部屋に持っていき引きだしにしまいます。

しっかりと鍵をかけます。

「読むのは葬儀が終わってからよ」

感情を逆なでしないために、日記帳は葬儀が終わってから読む事にしました。