世の中は、もうクリスマスモードだ。

まだ一ヶ月以上も先なのに、店内にはクリスマスソングが流れ、きらびやかなツリーが街のあちこちに飾られていた。


おとといの日曜日は雨だった。

朝10時に、誠のマンションを訪れた。


美紗は雨の日、出掛けるのが嫌いだ。

だから、誠は美紗の家の前まで、
愛車で迎えに来てくれた。


窓ガラスにたくさん水滴がついた誠のワンルームの部屋で、美紗は一日を過ごした。

ベッドの上で、誠と一緒に。


雑誌を読んだり、ビデオを観たり。

昼ごはんにレトルトのカレーを食べたあと、二回、愛し合ってそのまま昼寝をした。



ーー…美紗が一番いい。


美紗の裸の胸の間に顔を埋め、誠は目を閉じて言った。

コーヒーマシンでエスプレッソを淹れて飲んだ。

それだけで、もう夜になってしまった。

雨は6時過ぎにやっと止んだ。


ーー晩飯、焼肉、食いに行こう。


長袖のTシャツを被りながら、誠は美紗は外食に誘った。

いつも家で二人でいる時、誠の言葉は簡潔だった。
会社とは違う顔。


チェーンの焼肉屋で肉を焼きながら、誠は、同じ調子で美紗を誘った。


ーー来年の二月、札幌の雪祭り行こう。