ピンポーン〜…


ミートソーススパゲティを食べ終え、美紗が後片付けをしていると、玄関チャイムが鳴った。


「もう!またヒカルのネットショッピング?面倒臭いなあ。
頼むなら、自分で出てよねえ…」


手拭きを使いながら、一人でブツブツ言い、インターフォンの画面を見ると、写っていたのは宅配便の人ではなかった。

若い女だった。

美紗は驚く。

女は前に下着を忘れたヒカルの「友達」だった。


『あの…こんな時間にすいません。
あたし、関根亜美っていいます。
ヒカル…くん、お家にいますか?
どうしても会って話がしたいんですけど…』


亜美と名乗る女は、インターフォン越しに訴えるような顔付きで言った。



「どうぞ…散らかってるけど」


美紗は亜美を家の中に招き入れた。

夜8時に切羽詰まった表情で、彼氏の実家を訪ね、話したいことがあるという亜美を放っておけなかった。


別れ話のもつれなら、気持ちの冷めてしまった男のことは諦めるように、自分が亜美を説得しようと美紗は思う。


亜美はヒカルの一つ下の19歳で、短大の看護科に通う学生だと言った。