ーー離婚して、1人暮らし始めてからずっとバイク乗ってたんだ。
でも、やっぱり車、運転したくなったんだよね…


美紗は自分の座る助手席のシートに、前妻が触れていないことに、なぜか安堵を感じた。


美紗を拾ってから、高速を使い、海ほたるを経由した。


ーー海、綺麗ねぇ。
カモメが飛んでる。
船がいっぱい浮かんでる…


きらきらと光る海原を見て、美紗は、そんな当たり前で子供みたいな発言をしてしまう自分が可笑しくなった。

誠といると、全てを共有したくなってしまう。

何時の間にか、自分が誠に夢中になっていることに気が付く。


千葉木更津のアウトレットに行き、早めのランチを摂ったあと、ショッピングを楽しんだ。

5900円のベージュのシフォンのスカートを美紗が買うかどうか迷っていると、誠が買ってくれた。
『美紗に似合うから』と言って。


富津岬を目指して、
のんびりとドライブした。

すごく充実した、楽しい一日だった。


いつもだったら、土日は、誠が一人暮らしをするワンルームマンションで週末妻みたいに過ごすのだけれど、明日、誠は、三ヶ月に一度、別れて暮らす子供に逢う日だった。