私は早瀬くんに手を振りながら「またね」と言った。


だけど彼はまた、あの時のように


「家まで送るよ」


と言ってくれた。


だから私もまたあの時のように断る。


「いいですよ!」


送ってもらうなんて…そんな、ねえ。悪い気がして仕方がない。


私が頑なに断っていると


「先輩、じゃあ私を途中まででいいんで一緒に行ってくれませんか?」


春奈ちゃんがそんなことを早瀬くんに頼んだ。


「おう。新美の方向はどっちだ?」


あっという間に早瀬くんは春奈ちゃんを送って行くことになった。


…え、ちょ……。


「あっちです」


春奈ちゃんが指差す方向は私の家の方向とは違った。


「了解」


「すみません。あっちの道は灯りが少なくて…」


「いいよ、いいよ」