ボーっとしていると、船の上からナギが顔を出した。 「出航するよ!」 「あ、うん」 ちらりと、自分の家の方を見て、 あたしは船に乗り込んだ。 大型客船と変わらないこの船。 乗ってしまえば家を見下ろす形だ。 「ソラ、準備はいいか?」 「あぁ、出航だ」 その言葉とともに浜辺から離れていく船。 あたしは、じっと自分の家を見ていた。 お母さん、 この手紙届けてくるからね。