「あ、ままーっ!」 あたしの後ろを見て、一生懸命手を振るりうくん。 振り返ると、そこにはナギがいた。 「りう、降りてきてたの?」 「うんっ」 「もうすぐ出発だから乗っちゃいなさい」 「はーい」 たったったっと軽い足取りで、船に向かって走るりうくん。 あたしはナギを見た。 「あれはね、あたしの子供だよ」 「そう、なんだ」 ナギはそれだけ言うと、船に乗り込んだ。 聞けなかった。 ――誰との子なの? って…。