海をみると泣きたくなる。
ここで見るのが当分できない。
もしかしたら、最後かもしれない。
そう思うと泣きたい気持ちでいっぱいになった。
「俺、戻るね」
「あたしはもう少し残ります」
「ん、わかった」
尚毅さんが隣から消える。
視界にいなくなっただけで寂しくなった。
斜め前に見えるこの大きな船で。
この海を渡っていくんだ。
楽しみだし、怖い。
お父さんにあって渡さなくちゃいけない。
なにも、整理のつけきれてないまま出ていいのかな。
絶対によくない。
だけど、時間がない。
「…はぁ……」
ソラは、必ず連れて行ってくれると言った。
それはつまり、ソラたちのお荷物になるんだ。

