あたしの周りには赤色しかなかった。 その場から動けないあたしは、 ただその場にうずくまっているしかない。 「日奈」 「…ナギ」 「片付けるから手伝って?」 「うん…」 その笑顔はいつもの笑顔。 あぁ、なんて残酷なんだろう。 「……どうすればいいの?」 「水で洗い流して」 「うん、わかった」 空は悲しくなるほど晴天。 あたしの心は曇天。 渡されたブラシでただ床をゴシゴシと洗っていた。