それはできない。 ここを捨てることなんてできない。 「それはできません」 「そういうと思ったよ」 すべてを見透かしているかのように俺を見る。 俺はこの目が好きだった。 何者にもブレないその目が。 「日奈のこと、よろしくね」 「はい」 「大丈夫。きっとソラなら幸せにできる」 そう、笑顔で言われて自信がついた。 なぜだろう。 この人は本当に偉大なお方だ。 「さて、ご飯にでもしようか」 「では失礼します」 「おう」