───── それはあたしがまだ幼稚園生くらいのとき。 お父さんが久しぶりに帰った来た。 1人の男の子を連れて。 「この子は?」 お母さんが聞くとお父さんは男の子の頭に手を乗せてにっこり笑いながら言った。 「新人だ!」 「え?」 「兄貴もいるんだけどな! あっちは船酔いが激しいから弟を連れてきた!」 「誰の子供なのー?こんな小さな子…」 「親はわからないんだよ」 そんな会話をしている下で、あたしたちは見つめあった。 「おなまえは?」 「おなまえ?」