蝶-アゲハ


あれから誰も喋ることなく10分が経った。







待つことに痺れを切らしたのか、さっきのツンツンしてた男が愚痴を言い出した







「おーい。まだかよー遅ぇー」







「恭也うっせぇ」








あのツンツン男は恭也っていうのか







ってか怒られてるし。








でも本当に岩崎来ないじゃん











寝たフリしてるのも飽きてきた...







本気で帰ろうと思い始めた頃に、再びいきなり扉が開かれた。








「岩崎やっと来たんか。おせぇよー」








「は?岩崎がどうしたんだ?」









ん?この声は...









「って優琉かよー」








「は?まだ岩崎来てねぇのか」








この人らと天海は知り合いなのか









「あれ?涼巳は来てたのか」







その声に私はむくっと起き上がった







「うん。岩崎遅いから帰ろうと思ったけどね」







「俺にとってはラッキーだったけどな」








そう言った天海はにやっと笑った









「おーい。お二人さんは知り合いか?」









恭也っていう人が私達に聞いてきた








「知り合いも何も俺ら同じクラスだろ」









「「え?」」








嘘でしょ。この人たちクラスに居たっけ







自分のクラスメイトは天海しか覚えてないけども








「まぁこの4人組はあまり学校来ないからな」








それなら納得だ









「ねぇ名前なんて言うの?」








「涼巳蝶」








「蝶って珍しい名前だな。」







早くこの会話を終わらせたいから淡々と答える








「あっ俺は結城恭也ってんだ!」








「そう。よろしく」








まぁ社交辞令みたいなものよね








「そういえば俺たち同じ族なんだ」






天海が言う








「俺達は姫星っていう族なんだ!名前は知ってるか?」







「あー確か...全国1だっけ?」



この前誰かが言ってたのを聞いた事がある








「そうそう。で、俺らが幹部なんだ」









「へぇーそうなんだ。」








「...え?それだけか?」



物珍しそうに結城恭也が聞いてくる






「それだけって他に言うことあるの?」







私は昔は敏感な方だったけど今は疎い



でも全国1っていうのは凄いことだと思う








「お前珍しいな!気に入ったわ!」