鬼上司のとろ甘な溺愛


そして支払いを始めたのをみて慌ててお財布を出す。しかしそういうときに限って鞄のなかでお財布が引っ掛かり上手く出せない。


「課長! 自分のは払いますから」
「いいから」


そう言ってさっさと会計を済ませてしまう。
そして私の荷物を持ったままコンビニの外へ出て行った。
急いで追いかけるが、神林課長の駐車場へ向かう後姿にただ戸惑うばかりだ。


「待って下さい、課長」
「何?」
「何じゃないです。あの、お金。お金払いますから」


私が財布からお金を出そうとすると、課長の大きな手がそれを遮った。


「いいよ。奢ってやるよ」
「でもっ」
「いいから」


神林課長はそう言って近くの車の助手席を開けた。
課長の車だろうか。


「近くなんだろ? 送ってやるよ」

「え? 大丈夫ですよ!」


驚いてぶんぶんと首を振る。