この子見たことある。
動揺する2人を横目にぼんやりそう思った。
誰だっけ。あぁ、優斗と同じ居酒屋でバイトしている子だっけ。
優斗が正社員として働く居酒屋に遊びに行った時見かけた子だと気がついた。
一年ほど前のことだったと思う。
女の子は見た目からして私よりも断然若い。学生、かもしれない。
なるほど、そういうことか。
私は拳をキュッと握りしめ、優斗を見上げた。
優斗は動揺して視線を泳がせている。
「陽菜子、これは別に……」
「別に?」
「えっと……」
どう言い訳するんだろう。言い訳何てできやしない。
だって、半裸のあんたと男物のシャツを着た女の子がふたりきりで部屋にいて、何もありませんなんて言い訳ができるはずもないんだから。
「ねぇ、優斗。明日、何の日か覚えてる?」
私は震えそうになる声を抑えて聞く。
怒鳴り散らしたり、泣いたら負けな気がした。
これは意地だ。



