鬼上司のとろ甘な溺愛



でもその行く手を優斗は遮った。
顔を上げるとあからさまにしかめっ面。
どうしてそんな顔をされなければならないの?
”彼女”の私に向かって。


「待てって。なんで急に来るんだよ」
「なんでって……、別に良いじゃない。来たって」


優斗の焦った言い方に若干イラっとして言い返した。
今まで急に来たってそんなこと言わなかったくせに。

そう思って優斗を見上げた時、「誰ぇ?」と部屋の奥から間延びした女の声がした。

私が視線を送った先には眠そうに目を擦った若い女の子がシャツ一枚でトイレから出てくる。


「あっ……」


そして私を見た瞬間、ギクッと身体を固くして動揺する女の子。
全てを察した。