鬼上司のとろ甘な溺愛



――――……

さてさて。

どうしてこんなことになったんだろう。

私はフラつく足元も気にせず、ビール缶片手に家路についていた。
何ともみっともない姿。
人通りも減って来て暗い夜道に危険だという認識もあるが、そんなことお構いなしにうなだれたまま。
逆にこんな酔っぱらった女、訳ありすぎて誰も声なんかかけて来やしないだろう。
空を見上げると都会では珍しく星がぽつぽつを出ている。
もう11月。空気も澄んできて綺麗に見える。


「いつからだったのかなぁ~……」


ボソッと空に呟いた声は夜空に吸い込まれていく。
泣きそうにはなっていない。
涙なんか出てこない。
むしろ、あぁやっぱりな、という気持ちが大きかった。


「優斗、いつから浮気してたんだろ」


そう、優斗は浮気していたのだ。