花色の月


「ずっと……久美子さんも克也さんも、花乃に悪い事をしたと後悔していたそうです。

花乃を引き取る話もあったんですよ。それは叶いませんでしたけどね。

ですから、その思いが花乃が歌うことによって軽くなるんじゃないかって、克彦は考えたんです」



「別に、参列するだけでも……」



「そうなんですけどね。う~ん……これ言ったって克彦には内緒ですよ?」




シーッと口元に人差し指を寄せる那月さんの瞳が真剣で、あたしは頷く事しか出来なかった。

でも、ちょっと可愛い。



「あの美容院に連れていった時が、花乃と克彦が初めて会った時だって思ってるでしょう?」



うん、那月さんとの初めてのデートの日。
髪を切って貰った時が初対面でしょ?



「実は、克彦は妹がいる事を知って色々調べたそうです。それでクリスマスコンサートに行った事があるって言ってました」



毎年音大で行われる行事だ。

それに来ていた……?



「克彦は、そのコンサートで花乃の歌に感動してファンになってしまったそうです」


「……ファン」


「ですから、純粋に花乃の歌を聴きたいんだと思いますよ」



でも、それじゃあ……



「知ってたの?髪を切りに言った時……」


「いえ、その時は見たこと有るような、で終わってしまったそうです。後で確認の電話が来ましたけど」


「でも……お父さんの所に行った時は、知らなかったみたいに」



言ってたのに……

演技していたの?どうして、そんな事をする必要があったのか分かんない。



「克彦は、最初好意的な目的でコンサートに行った訳では無いそうです。克也さんの愛する娘を見てみたいと……

嫉妬が原動力となって、その場に来ていたなんて知られたくないと思ったそうですよ」




やっぱり、好意的に見られてた訳じゃないんだ。