花色の月


コンコンッ

「花乃、開けてくれますか?」


那月さんっ!
ど、どうしよう……こんな酷い顔なんだけど…

それでも那月さんの声には逆らえなくて、障子に手を掛けた。

そんなあたしの背中を、知花さまが黙って見ているのが分かる。


「…那月さん……」


「おや?花乃を泣かせるなんて、十夢の奴どうやって詫びる気でしょう?」


な、那月さん笑顔がとっても怖いです…よ…?


「…泣かせてねぇよ」


「まったく、危うく花乃を取られる所でした」


「………?」


縁側から入ってきた那月さんは、ごく自然な動きであたしを腕の中に閉じ込めた。

一瞬戸惑ったけれど、那月さんの甘い香りに包まれると、安心してまた涙がこぼれてしまう。



「まったく……情けないですね。
桜介は、生きてますよ」


「本当に…?」


まるで見てきたようにハッキリと言う那月さんの言葉に、あたしは驚いたけれど知花さまは、安心したように息を吐いた。