「ま、待って――……」
叫びかけて、わたしの足はぴたりと止まる。
……わたし、あの人止めてどうするの?
ふと湧いて出た疑問はすぐに体中に広がって、出していた右手をひっこめた。
反射的に身体が動いてここまで来てしまったけれど、わたしはあの人を止めてどうするんだろう。
自殺なんてハンパな気持ちで出来るものじゃない。
かなりの覚悟が必要だし、その行為に及ぼうとしているからにはかなりの理由があるはずだ。
彼のことを何も知らないわたしが止めて下手に慰めの言葉をかけたって無駄なんじゃないのかな?
目の前の彼が、また一歩踏み出す。
あと一歩踏み出せば、彼の身体はまっさかさまに落ちていくだろう。
止めるために叫ぼうとするけれど、もう一人のわたしがそれを邪魔する。
それが悔しくてギリッと唇を噛むと、わたしはすぅと息を吸い込んだ。
「――待って!」
「……っ」
フェンスの向こう側の彼が、驚いたようにこちらを振り向く。
色素の薄い瞳と視線が合い、わたしはフェンスをぎゅっと握った。
そして、精一杯の笑みを浮かべると渾身の演技を見せる。
「ねぇ、何してるの? 日向ぼっこ?」
「……は?」
「確かにそっちに行きたくなるのは分かるけどさ、危ないよ。こっちに戻っておいでよ」
こう言うときって天然女子が一番良いんでしょ?
なんかもうバカらしくなる……らしいし?
明らかにマンガの読み過ぎな思考回路で、わたしは精一杯天然女子を演じる。
彼は呆気に取られたように目を見開いた後、心配そうな表情をした。
「お前……頭大丈夫か?」
「……」
笑顔のまま固まる。
叫びかけて、わたしの足はぴたりと止まる。
……わたし、あの人止めてどうするの?
ふと湧いて出た疑問はすぐに体中に広がって、出していた右手をひっこめた。
反射的に身体が動いてここまで来てしまったけれど、わたしはあの人を止めてどうするんだろう。
自殺なんてハンパな気持ちで出来るものじゃない。
かなりの覚悟が必要だし、その行為に及ぼうとしているからにはかなりの理由があるはずだ。
彼のことを何も知らないわたしが止めて下手に慰めの言葉をかけたって無駄なんじゃないのかな?
目の前の彼が、また一歩踏み出す。
あと一歩踏み出せば、彼の身体はまっさかさまに落ちていくだろう。
止めるために叫ぼうとするけれど、もう一人のわたしがそれを邪魔する。
それが悔しくてギリッと唇を噛むと、わたしはすぅと息を吸い込んだ。
「――待って!」
「……っ」
フェンスの向こう側の彼が、驚いたようにこちらを振り向く。
色素の薄い瞳と視線が合い、わたしはフェンスをぎゅっと握った。
そして、精一杯の笑みを浮かべると渾身の演技を見せる。
「ねぇ、何してるの? 日向ぼっこ?」
「……は?」
「確かにそっちに行きたくなるのは分かるけどさ、危ないよ。こっちに戻っておいでよ」
こう言うときって天然女子が一番良いんでしょ?
なんかもうバカらしくなる……らしいし?
明らかにマンガの読み過ぎな思考回路で、わたしは精一杯天然女子を演じる。
彼は呆気に取られたように目を見開いた後、心配そうな表情をした。
「お前……頭大丈夫か?」
「……」
笑顔のまま固まる。

![光の中のラビリンス[仮]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.794/img/book/genre7.png)