目に見えて、彼の顔に動揺と驚愕が表れた。 それに驚いたのはあたしで、思わず呆然とする。彼はすぐに、怒りを含めた鋭い目になった。 ああ、何て冷たい目。あたしは地雷を踏んだのか。 いや――“誰にも踏み込んで来なかった領域に初めて踏み込まれた”。そんな感じか。 あたしの無神経さは健在みたいだ。殴られるな、これ。 「怖がってる?笑わせんな。」 「…………」 けどね。 踏み込んだのだったら、あたしは中途半端に引き上げたりしない。